【東洋医学臨床論】 治療各論
  1. 肩峰下の骨棘
  2. 肩鎖関節の亜脱臼
  3. 上腕骨近位骨端線離開
  4. 腱板の石灰化
答:【3】
3. 上腕骨近位骨端線離開

上腕骨近位骨端線離開は、リトルリーガーズショルダーとも呼ばれ15歳未満の成長期で、上腕骨上端部の成長軟骨に障害が起こり、肩の痛みを発生する疾患です。野球などによる投球動作で、上腕骨にかかる捻りのストレスと投げ込むときに起こる上肢末梢方向への遠心力が主な原因となります。成長期の野球肩は、上腕骨上端部の成長軟骨に起こる骨端症、もしくは成長軟骨の疲労骨折(骨端線離開)が多いです。
レントゲンなどの検査で、明確な成長軟骨の損傷がみられない場合は、骨端症もしくは骨端炎と診断されます。一方、成長軟骨やその隣接する骨に損傷がみられ、いわゆるひびや骨折状態であれば、完全な離断が無くても骨端線離開と診断されます。



1. 肩峰下の骨棘
肩峰下の骨棘は、学童期には起こりにくい。肩峰下の骨棘は、肩インピンジメント症候群を誘発することがあります。

2. 肩鎖関節の亜脱臼
柔道・ラクビーなどのコンタクトスポーツやバイク・自転車事故、作業中の転落・転倒などで肩の外側を強く打ちつけることにより、これらの靱帯・筋肉がいたみ肩鎖関節がずれます。 関節のずれの程度・方向により捻挫、亜脱臼、脱臼に分類されます。

Ⅰ型(捻挫):
肩鎖靱帯の部分的な傷みだけで、烏口鎖骨靱帯、三角筋・僧帽筋は正常でX線では異常はありません。

Ⅱ型(亜脱臼):
肩鎖靱帯が断裂し、烏口鎖骨靱帯は部分的に傷んでいますが、三角筋・僧帽筋は正常です。X線では関節の隙間が拡大し鎖骨の端がやや上にずれています。

Ⅲ型(脱臼):
肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれていることが多いです。X線では鎖骨の端が完全に上にずれています。

Ⅳ型(後方脱臼):
肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれています。鎖骨の端が後ろにずれている脱臼です。

Ⅴ型(高度脱臼):
Ⅲ型の程度の強いものです。肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。三角筋・僧帽筋は鎖骨の外側1/3より完全にはずれています(図3)。

Ⅵ型(下方脱臼):
鎖骨の端が下にずれている非常にまれな脱臼です。

捻挫、亜脱臼、脱臼のいずれにおいても肩鎖関節の安静時の痛み、押した時の痛み、運動時の激しい痛みと腫れがみられます。ちなみに亜脱臼では、三角巾やテーピングによる固定を2~3週間行います。

4. 腱板の石灰化
腱板の石灰化は、夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多い疾患です。40~50歳代の女性に多くみられ、学童期には起こりにくいと思われます。肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じる事によって起こる肩の疼痛・運動制限です。

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